【新型コロナウイルス対策】社員を休業させた場合に助成金は支給されるのか
2020.04.28
新型コロナウイルスの蔓延を受け、各企業では時差出勤、リモートワークの推進、営業自粛、一部休業・一斉休業等、様々な取り組みがなされており、この非常事態を何とか乗り切る為、施策を講じられていると思います。
当事務所でも、リモートワーク導入の手順、助成金等、多くのご質問を頂いております。
特に多いのは、社員を休業させた場合に助成金は支給されるのか?という内容です。
ここでは、社員を休業させた場合の助成金(雇用調整助成金)についてご紹介致します。尚、本助成金は複数回に渡って、要件が緩和されており、記載内容は令和2年4月14日現在の内容です。今後の動向では、更に変更されることもあり得ますので、ご留意ください。
新型コロナウイルスでやむなく休業。雇用調整助成金に特例措置。
休業を実施した会社に対しての助成金として、従前来から存在する雇用調整助成金に特例措置(要件緩和)が設けられました。
そもそも雇用調整助成金とは、経済上の理由により、事業活動の縮小を余儀なくされた事業主が、雇用の維持を図るための休業手当に要した費用を助成する制度です。
当然、新型コロナウイルスによる休業もその対象となります。
雇用調整助成金が摘要されるケース
具体的には以下のような事態が生じた場合が挙げられます。
・ 取引先が新型コロナウイルス感染症の影響を受けて取引量が下がった場合
・ 受注減少による事業活動の縮小した場合
・ 営業自粛要請に応じ、自主的な休業を実施、その結果、売上が減少した場合
・ 自粛要請により客足が途絶え、売上減少した場合
・ 風評被害により客足が減った場合
・ 労働者の発症により、自主的な事業所閉鎖を実施した為、売上が減少した場合
新卒採用者も対象に。特例措置の内容と摘要される条件とは?
今回の新型コロナウイルスについては、雇用調整助成金の対象事業主が行う感染症拡大防止に資する一部社員の休業や一斉休業、濃厚接触者に対する休業命令等も対象となることが明確化され、且つ、大幅な要件緩和・特例措置が行われております。
休業等の初日が「令和2年4月1日から令和2年6月30日までの場合」に適用さます。
①対象者の拡充
・新規学卒採用者も対象
・雇用保険被保険者として継続して雇用された期間が6か月未満の労働者も対象
・雇用保険の被保険者以外についても助成対象
②過去に雇用調整助成金を受給したことがある事業主も対象に
過去に雇用調整助成金を受給したことがある事業主について、
・前回の支給対象期間の満了日から1年を経過していなくても助成対象
・過去の受給日数にかかわらず、今回の特例の対象
・休業等の支給限度日数までの受給が可能
(支給限度日数から過去の受給日数を差し引きません)
③生産指標の確認期間を3ヶ月から1ヶ月に短縮
生産指標の確認は、提出があった月の前月と対前年同月比で確認します。
(※)生産指標=販売量、売上高等の事業活動を示す指標
通常は、生産指標の減少(5%以上の低下)を、初回の休業等の届出前の3ヶ月間について、対前年比で確認しますが、今回の特例措置では、最近1ヶ月の生産指標が、前年同期に比べ 5%以上減少した場合には、生産指標の支給要件を満たしたものとして取り扱われることになります。また、生産指標は原則として、初回の休業等計画届を提出する月の前月の対前年比で確認しますが事業所設置後1年未満のため、前年に比較できる月が無い場合は令和和元年12 月と比較して確認します。
※10%⇒5%へ要件緩和(但し4/1~6/30の休業に対して適用)
④事業所設置後1年未満の事業主についても助成対象
※生産指標の確認は 提出があった月の前月と令和元年12月と比べます。
そのため12月の実績は必要となります。
⑤最近3ヶ月の雇用量が対前年比で増加していても助成対象
⑥休業規模の要件の緩和
休業等の延べ日数が対象労働者に係る所定労働日数の1/20(中小企業)、1/15(大企業)以上となるものであることとしていましたが、これを1/40(中小企業)、1/30(大企業) 以上に緩和。
⑦残業相殺制度を当面停止
支給対象となる休業等から時間外労働等の時間を相殺して支給すること
(残業相殺)を当面停止します。
⑧短時間休業の要件を緩和
短時間休業については従来、事業所等の労働者が一斉に休業する必要がありましたが、 事業所内の部門、店舗等施設毎の休業も対象とする等、緩和されます。
⑨申請書類の省略
※法人謄本等の添付は不要となります。
⑩記載事項の削減
※従前の50%程度に削減されます。
⑪令和2年1月24日以降の休業等計画届の事後提出が、令和2年6月30日まで可能
既に休業を実施し、休業手当を支給している場合でも、令和2年6月30日までは、事後に提出することが可能です。
※生産指標の確認は提出があった月の前月と対前年同月比で確認します。
※生産指標の確認は提出があった月の前月と対前年同月比で確認します。
⑫審査期間の短縮
助成金受給までの期間が短縮されます。
具体的な助成内容は?
助成内容は以下となります。
①休業手当、教育訓練の際の賃金又は出向元の負担額の一部を助成
→ 大企業:2/3 中小企業:4/5
【上乗せ助成】
以下の要件を満たす場合は更に上乗せ助成がされます。
→大企業:3/4 中小企業 9/10 に拡大
<注意事項>
※令和2年1月24日から賃金締切期間(=判定基礎期間)の末日までの間)に解雇等を行わない(行っていない)場合
※賃金締切日までの労働者数が、(令和2年1月24日 から判定基礎期間の末日まで)の月平均事業所労働者数と比して4/5以上である場合
※雇用保険基本手当日額の最高額(8,330円)が日額上限となります。
②教育訓練を実施した場合は①の他、教育訓練費を支給
→1人1日当たり 大企業は1,800円、中小企業2,400円を追加助成
③支給限度期間
→1年100日、3年150日 + 特例期間4/1~6/30分の日数を加算
最後に
尚、今回の特例措置は、緊急対応期間(令和2年4月1日~同年6月30日)までに適用となりますので、ご注意下さい。本助成金は労働者を休業させ、法に定められた休業手当を支給した場合に対象となります。
休業をさせずに、又は適正な休業手当の額を支払うことなしに受けられるものではありません。
「休業 = 助成金」ではなく、 「休業 ⇒ 休業手当 ⇐ 助成金」となります。
適正な休業手当の計算を行うよう、賃金計算時には注意が必要です。
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